お洒落や身だしなみを整えるにあたって、髪染め(カラーリング)や脱色などの髪の毛の色を変えることは昨今では一般的になってきました。また、薄毛に悩んでいる方が頭皮と似たような金髪や茶髪にすればわかりにくいのではないか、と考えてヘアカラーをする方も多く、その目的は人によって様々です。
しかし、髪染め(カラーリング)や脱色をすると、髪や頭皮にダメージを与えて薄毛になるという噂を一度は耳にしたことがあるかと思います。実際に、薄毛に悩みを持った弊院の患者様が診察に来た際、開口一番に「若いころ髪の色をハイブリーチやカラーでいじってたのが原因で薄くなりました」という声を頂くことも多いです。
そこで今回は髪染めや脱色、ヘアカラーをするにあたって毛髪にどのような影響を与えるのか、またヘアカラーをして薄毛になってしまうのかなどの疑問について解説致します。
ヘアカラーの仕組み
薄毛とヘアカラーの関係を紐解く前に、まずヘアカラー剤の仕組みを解説します。毛髪が最も安定しているpH値は4.5~5.5の範囲で、これを等電点と呼びます。この等電点よりもpH値が低いとキューティクルが閉じ、毛髪が固くなって手触りが悪くなる仕組みです。このキューティクルが閉じた状態を収斂(しゅうれん)と呼び、逆にアルカリ性になると毛髪のキューティクルは開きます。これはpH値が高くなることでタンパク質の塩結合(イオン結合)が壊れているため、強度を失っている状態でもあります。そのため毛が柔軟性を増し、白髪染めやパーマ剤が浸透しやすくなります。
このように髪のpH値を変えることで髪の毛に色を入れたり脱色するなどが可能になります。
ヘアカラーの種類
これらのヘアカラー剤は多種多様で、医薬部外品の「染毛剤」と化粧品に分類される「染毛料」に分かれています。それぞれどのような種類なのかを解説していきます。
染毛剤(医薬部外品)について
染毛剤には脱色・脱染剤であるヘアブリーチ、永久脱毛剤の白髪染めが含まれており、一般的にヘアサロンで使用される液剤です。具体的には下記の様なものがあります。
酸化染毛剤
染毛剤の中では最も古い製品で、現在も多くのヘアサロン等で白髪染めやヘアカラーとして使用されています。色素原料を毛髪に浸透して発色させることに加え、過酸化水素の作用によってメラニン色素を分解することで髪が染まる仕組みです。
染毛料(化粧品)について
一方で染毛料としてカテゴライズされているのが半永久染毛料のカラートリートメントやヘアマニキュア、一般染毛料のカラースプレーなどです。具体的には下記の様なものがあります。
酸性ヘアカラー
量販店などで手に入る染毛料が酸性ヘアカラーです。色落ちもなく、かぶれを起こさないことや毛髪を痛めることがありません。酸性といってもph3程度ですので、毛髪に浸透させる力が弱いため、毛髪内部の中心部分まで染まりません。
ヘアマニキュア
かつては髪につやを与える目的で使用されていましたが、現代ではそこに色を付けるという目的も追加されました。配合している成分はほとんど酸性ヘアカラーと同じです。
ヘアカラーで薄毛になるか
髪染め(カラーリング)や脱色で、直接的に薄毛になることはありません。しかし、髪の毛や頭皮への間接的な影響として以下の2点が考えられます。
髪のやせ細り
ヘアカラーに含まれる過酸化水素水は、メラニン色素を分解するほどの強い酸性作用を持っているので、毛髪の主成分であるケラチンも損傷を受けます。そのため枝毛や切れ毛になってしまったり、毛髪の伸びが悪くなったりする脆い髪の毛の状態、いわゆる髪のやせ細りを加速させます。
また、髪を明るい色にしようとすればするほど、過酸化水素水の濃度を高めることや施術時間を長くするなどしておりますので、その分毛髪への損傷は大きくなります。
そして、髪の毛は角化(※1)した細胞を押し上げる様に細胞は分裂しては角化することを繰り返し、皮膚表面に向かって伸びています。このことから、髪の毛自らがダメージを修復や回復することが出来ない為、カラーやブリーチなどで一度損傷すると髪の毛の力で元の状態に戻ることはありません。
そうなると「髪がまとまらない」「髪のボリュームが出ない」「髪が薄くなったように見える」という薄毛になったように感じてしまう場合があります。ただ、これはあくまでも髪が細くなったことによる変化ですので薄毛になった訳ではありません。その為、カラーリングやブリーチ剤を控え、元の髪の毛の状態に戻せば解決します。
※1 細胞が死んで角質細胞になること
皮膚炎などによる脱毛
カラー剤やブリーチ剤に含まれる過酸化水素やアンモニアの濃度が強いことで、頭皮の皮膚障害が起きる可能性はあるので、取り扱いには十分注意が必要です。こういった障害は、刺激の強い物質が接触したことで皮膚が炎症を起こす一次刺激性接触皮膚炎のケースがあります。
またもう一つのケースとして、身体の免疫機能が働いて「有害な物質だ」と認識して炎症を起こすアレルギー性の皮膚炎が考えられます。ヘアサロンなどで頭皮がかゆくなることや痛みを感じた場合は、すぐに近くにいるスタッフに申し出てください。
一次刺激性接触皮膚炎の場合、ふき取り・洗い流しによってすぐに治まりますが、アレルギー性の場合は異なります。遅効性のため、頭皮や皮膚に付着してからしばらくしないと反応しないため、処置が遅れてしまうこともあります。また頭皮という自分の目では確認しにくい場所ですので、異変を感じた場合は必ずすぐに皮膚科を受診してください。
これらのような頭皮の炎症で一時的に髪の毛が抜け落ちる、もしくは髪の成長に障害が起こる可能性はありますが、皮膚炎が落ち着けば髪の毛のコンディションも元に戻ります。
まとめ
改めてにはなりますが、髪染め(カラーリング)や脱色は直接的な薄毛の原因にはなりません。可能性があるとしてもカラーした直後の一時的な皮膚炎によるものですので、影響があるとしても長くて半年~1年以内には治まるでしょう。その為、「何年も前に脱色やカラーをしたからその影響で髪が薄くなる」といった噂や風潮は基本的には誤りであることが分かります。
また、AGA(男性型脱毛症)に関しても、ヘアカラーによる直接的な影響はありませんので安心してください。
AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。
関連: AGAとは?引き起こす要因から対策まで解説
しかし、市販品の強いカラー剤でセルフカラーをして頭皮に大きくダメージを与えると想定しない肌トラブルや抜け毛のトラブルに見舞われるケースもありますので、基本的には専門の美容室で「半永久染毛剤」などダメージの少ないカラー剤でカラーリングを楽しむことをおすすめします。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。
