女性が薄毛になる要因の1つとされる「女性ホルモンの減少」ですが、妊娠・出産やストレス、ダイエットなどの他に、加齢でも身体に影響が出るほど大きな変化が起きています。
女性は年齢を重ねると、4つのライフステージを経験し、女性ホルモンの増減によって様々な身体の変化を遂げます。
- 思春期:11才前後から始まり、18才頃まで続くと言われています。外形的性差が生じる期間で、より女性らしい体つきに変化します。
- 性成熟期:この頃は女性ホルモンの分泌が活発になり、月経周期が安定します。18~37歳の前期と、37~45歳の後期の二つの時期があると言われています。
- 更年期:閉経後の10年間のことを言います。女性ホルモンが減少し、身体に様々な影響を及ぼします。
- 老年期:60歳前後以降、老化による生理機能の低下や細胞数の減少などが起こります。
今回は「更年期」での女性ホルモン量の変化によって起きる、抜け毛や薄毛に悩む理由と原因について解説していきます。
目次
女性の更年期とは
女性の閉経は平均で50歳前後と言われており、閉経をはさんだ前後の10年間(45~55歳頃)の期間を「更年期」と呼び、月経の周期が不安定になると、更年期に入るサインです。加齢とともに卵巣の機能が低下することで、卵巣で分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)が減少すると、以下のような症状が出ます。
該当器官 | 具体的な症状 |
精神神経系 | 頭痛、めまい、不眠、不安感、イライラ感、うつ |
血管運動神経系 | ホットフラッシュ※1、動悸・息切れ、寝汗・発汗、むくみ |
皮膚・分泌系 | のどの渇き、ドライアイ |
消化器系 | 吐き気、下痢・便秘、胃もたれ・胸やけ |
運動器官系 | 肩こり・腰痛・背中の痛み、関節痛、手指の痛み・しびれ・変形 |
消化器系 | 吐き気、下痢・便秘、胃もたれ・胸やけ |
泌尿器・生殖器系 | 月経異常、尿失禁、性交痛 |
※1ホットフラッシュ:上半身がのぼせやほてり、発汗が起こる症状。急に顔が赤くなったり汗が止まらくなくなる状態。
更年期に差し掛かることで、これら日常生活に支障が出る症状に加え、他にも毛髪や皮膚にも影響がある場合があります。
更年期の女性の薄毛の原因と症状
細胞分裂によって骨や筋肉を作るサポートをしているエストロゲンは、毛髪の細胞分裂にも関わっています。毛髪の細胞分裂数が減ると、毛髪に対して以下の様な影響が起こります。
- 髪が細くなる
- 毛穴から生えてくる髪の毛の本数が減る
- ハリやコシがなくなる
髪の毛は、通常は一つの毛穴から1~3本程度生えており、1cm四方の広さに約150本あると言われています。毛髪の細胞が分裂されなければ、毛穴から出てくる本数は減ったり細くなったりしてしまうため、頭皮が透けて薄毛になったようにみえます。
また、エストロゲンが減少すると、毛髪のヘアサイクルにおける成長期の期間が短くなると考えられています。毛髪は1本ごとに成長期で太く長く成長し、休止期で成長をやめて退行期に脱毛の準備に入って脱毛をします。これをヘアサイクルと呼び、エストロゲンは成長期中の細胞分裂をサポートしていることが分かっています。
ヘアサイクルについて詳しくはこちらをご覧ください。
その為、エストロゲンの減少によりヘアサイクルの成長期が短縮されてしまうと、毛髪は以下のような状態になります。
- 抜け毛が増える
- 毛髪量が減る
- 分け目が目立つ
- 頭皮が透けて見える
また、女性ホルモンが減少することで男性ホルモンが優位になり、男性ホルモンが体内でジヒドロテストステロンという毛髪にとっての悪玉男性ホルモンに変換されても、成長期が短縮されます。この場合、通常であれば2~7年程度の成長期が半年から1年程度の期間になり、抜け毛量が増えて頭皮の露出が激しくなります。この女性による男性ホルモンが原因で起きる脱毛症がFAGA(女性男性型脱毛症)です。
FAGAについて詳しくはこちらをご覧ください。
更年期に薄毛になりやすい方の特徴
更年期を迎えたことで女性ホルモンが減少すると、それ以前は女性ホルモンによってサポートされていたヘアサイクルの成長期が短縮されます。それに加え、若いうちから毛髪や身体に良くない習慣を慢性的に続けていた場合、更に薄毛になりやすい体質になっている場合があります。更年期に薄毛になりやすい女性の特徴としましては、次のようなことが上げられます。
- 無理なダイエットをしたことがある
- 飲酒を毎日している
- 日常的に喫煙している
- 冷え性
- ストレスが多い環境
特にダイエットや飲酒、喫煙は更年期の女性ホルモン量とは関係なく、毛髪の成長を妨げる可能性が高い項目と言えます。無理なダイエットとは、「食べないダイエット」などによって毛髪の成長に必要なビタミンや亜鉛、タンパク質などが不足してしまうことです。毛髪はタンパク質であるケラチンが主成分となっていますので、タンパク質が不足すると毛髪に影響してきます。
薄毛に良いとされる栄養素について詳しくはこちらをご覧ください。
また、飲酒を過度に行うことは、ケラチンの生成に必要になるアミノ酸でアルコールを分解するために使用されるため、毛髪を生成するのにサポートしてくれる栄養素が減る状態です。
薄毛と飲酒の関係性について詳しくはこちらをご覧ください。
喫煙や冷え性などは、血流が悪くなって栄養素が運ばれにくくなってしまいます。そうなると頭皮への血流も悪くなり、栄養が十分に頭皮へ行き渡りません。
喫煙と薄毛の関係性について詳しくはこちらをご覧ください。
更年期で女性ホルモン以外が原因となる脱毛症
女性の薄毛の種類は、更年期の女性ホルモンの減少だけで起きるわけではありません。男性ホルモンが優位に働くことで起きる脱毛症や、円形脱毛症など、原因が女性ホルモンの減少によるものではない脱毛症はさまざまです。
円形脱毛症
体内に入ってきた異物を排除しようとする免疫機能が、何らかの原因で毛包を攻撃してしまうことで脱毛してしまう脱毛症で、10円~500円硬貨程度の大きさの脱毛斑ができてしまいます。脱毛している部分とそうでない部分の境界がはっきりと確認できるほどです。
円形脱毛症について詳しくはこちらをご覧ください。
牽引性脱毛症
女性の脱毛症で多いのが、長期間同じ髪型や同じ分け目で過ごしていると、頭皮へのダメージが蓄積してそこから脱毛量が増えて薄毛になっていくのがけんいんせいだです。
牽引性脱毛症について詳しくはこちらをご覧ください。
脂漏性皮膚炎における脱毛症
脂漏性皮膚炎とは脇や顔、頭部などの皮脂腺の分泌が活発な部分にできやすい部位にできる湿疹です。皮膚が鱗屑のようになり、頭皮に発症した際には粃糠性脱毛症に移行して脱毛症を発症します。
脂漏性皮膚炎について詳しくはこちらをご覧ください。
これらの脱毛症は年齢に寄らずどの年代でも発症する薄毛の症状であるため、更年期で薄毛になったからといって女性ホルモンの影響で薄毛になったと断定することは出来ない為、注意が必要です。
更年期の薄毛を予防するセルフケア
更年期によって薄毛になってしまった場合、生活習慣を正す他にも、予防や対策することが可能です。セルフケアとしては以下の点に注意して生活をしてみましょう。
- 栄養管理:タンパク質、亜鉛、ビタミンB群、イソフラボン
- ストレス管理
- 睡眠時間の確保:毎日6~7時間程度
- 洗髪方法を工夫:シャンプー剤を頭皮に優しいアミノ酸系や石鹸素地タイプにするなど
特に、更年期に入ると食事量も落ちる為、日々の食生活による栄養管理を整えることは、頭髪のセルフケアにとって非常に重要です。
更年期の薄毛治療の方法
もし、セルフケアを徹底していても薄毛が進行してしまう場合は、薄毛治療クリニックや皮膚科等の医療機関への相談も視野に入れてください。現在では症状に合わせて「スピロノラクトン内服薬」「ミノキシジル外用薬」「パントガールなどのサプリ」など、以前に比べて多種多様な女性の薄毛の症状や進行具合に合わせた治療薬が開発されています。
女性の薄毛は男性に比べ原因の特定が難しく、それと同時に効果を出す為の治療方法や治療薬の選択が非常に難しいのが実情です。その為、しっかりと女性の薄毛治療の実績のある病院で相談をすることをおすすめします。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、女性の抜け毛や薄毛の悩みについても治療をお受けしております。