テレビのCMや薬局で見受ける薄毛対策のシャンプーや育毛剤、また病院で処方される薬など、インターネットが便利になった現代では薄毛関係の情報は溢れかえり、AGA対策と一言で言っても多種多様な選択肢があります。
では、実際はどの選択肢が本当に効果の期待できるAGA治療なのでしょうか?しっかりとした医学的なエビデンスがあり、医療機関で行われるAGA治療法や、そこで用いられるAGA治療薬に関して詳しく解説をしていきます。
AGA(男性型脱毛症)のメカニズムについて詳しくはこちらをご覧ください。
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目次
AGA治療薬や治療法の選択肢
薄毛に悩む男性の多くが、まずその対策として手に取るのがネット通販やドラッグストアなどに売られているスカルプシャンプーや育毛剤などではないでしょうか。
しかし残念なことにこれらではAGAの症状を改善することは出来ません。
なぜなら、AGAは髪にとっての悪玉男性ホルモンと呼ばれるDHT(ジヒドロテストステロン)が原因で引き起こされるものであり、そのDHT(ジヒドロテストステロン)にアプローチする事が出来る選択肢が医学的に根拠のあるAGA対策となるからです。
その為、残念ではありますが、スカルプシャンプーや育毛剤では体内のDHTに効率的にアプローチすることが出来ないので、効果のあるAGA対策は出来ません。
国内では1999年に大正製薬の「リアップ」が認可され、2005年にはMSD製薬の「プロペシア」が厚生労働省で認可を受けています。
それらを始めとして、薬を基にした医学的にAGAに対しての効果が認められた治療法や治療薬が確立されていますので、そのような根拠ある治療法を選択することがAGA対策に繋がるのです。
日本皮膚科学会の定めた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」について詳しくはこちらをご覧ください。
では、その治療について詳しく解説をしていきます。AGA治療の方法は大きく分けて4つあります。
1つ目は内服薬での治療、2つ目は塗り薬を用いての外用薬での治療、3つ目は頭皮へ注射で薬を注入する治療、そして4つ目は頭皮に直接髪の毛を植える植毛手術です。
AGA治療法1:内服薬でのAGA治療
内服薬での治療は基本的に「フィナステリド(プロペシア)」「デュタステリド」「ミノキシジル」これら3種類の薬を用いて行われます。どちらも専門の医療機関でのみ処方が可能な薬ですので、病院で症状を確認の上で、薬を処方してもらい服用しましょう。
AGA内服薬治療に用いる薬:フィナステリド(プロペシア)
フィナステリド(プロペシア)とは、AGAの原因となる「DHT(ジヒドロテストステロン)」を抑制し、抜け毛の進行を抑制する効果が期待できる薬です。
体内にある男性ホルモン(テストステロン)は生命活動を行う上で重要な物質です。しかしながら毛根周囲で5-α還元酵素(5-αリダクターゼ)という酵素と結びつく事で、髪の悪玉男性ホルモンと呼ばれる「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変化し、時として薄毛の進行を促してしまいます。
この「テストステロン」と「5-α還元酵素(5-αリダクターゼ)」の結合をブロックするのがフィナステリド(プロペシア)の作用機序であり、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、薄毛の進行を防ぐことが出来ます。
フィナステリド(プロペシア)について詳しくはこちらをご覧ください。
AGA内服薬治療に用いる薬:デュタステリド
DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する効果は、フィナステリド(プロペシア)だけでなくデュタステリドも同様です。
なお、双方の違いとしては5α還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅱ型のみに作用するのがフィナステリド(プロペシア)、Ⅰ型とⅡ型の両方に作用するのがデュタステリドです。
この作用の点だけを鑑みるとⅠ型だけ阻害するフィナステリド(プロペシア)よりⅠ型とⅡ型の両方を阻害するデュタステリドの方が優れた薬の様に思われがちですが、決してそういう訳ではありません。
5α還元酵素のⅡ型は頭部の毛根に多く由来する為、AGAと強い相関を示すとされていますが、Ⅰ型に関しては全身の毛根に由来している為、AGAとの相関はそこまで強くないとされています。
また、デュタステリド自体は国内でザガーロという薬品名でグラクソ・スミスクライン社から販売が始まって未だ数年しか経過していない状況から、実際の治療現場での臨床データの数も少なくフィナステリド(プロペシア)とデュタステリドのAGA治療の効果の優劣は明確になっていないのが現状です。
その為、作用の点だけを鑑みるとデュタステリドの方が優れてはいますが、フィナステリド(プロペシア)でAGA治療において充分な効果が得られる点や、日本で処方が開始され10年以上が経過し副作用など豊富な臨床データが揃っているという安全性の観点からも、AGA治療においてはフィナステリド(プロペシア)を処方するAGAクリニックや皮膚科の方が圧倒的に多いのが実情です。
デュタステリドについて詳しくはこちらをご覧ください。
AGA内服薬治療に用いる薬:ミノキシジル内服薬
フィナステリド(プロペシア)と・デュタステリドの脱毛を防ぐ効果とは異なり、ミノキシジルは髪の毛の成長を促す成長因子の分泌を促し、髪の毛母細胞(髪の毛を作る場所)を活性化させることで、髪の毛を太く長くする発毛効果が期待できます。
そもそもミノキシジルは、血圧拡張薬として開発されたもので、副作用として発毛が確認できたことから研究が始まりました。
日本ではミノキシジルの内服薬は認可されていませんが、その発毛効果の高さから医療法に則り多くのAGAクリニックで医師の裁量権のもとにミノキシジル内服薬を海外から輸入して患者に処方しています。
ミノキシジル内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。
関連: ミノキシジル内服薬の効果や副作用について
AGA治療法2:外用薬でのAGA治療
外用薬での治療法とは、塗り薬を薄毛の部位に塗って、髪の毛を生やすというものです。頭に塗るというと育毛剤と混同してしまいがちですが、育毛剤と外用薬(発毛剤)は大きく違います。その違いは「ミノキシジル」の成分が含まれているか否かです。
AGA外用薬はAGA治療を行っているクリニックだけでなく、薬剤師のいる薬局でOTC医薬品として手に入れることができるため、薄毛に悩み始めた方にとっては最も身近に試すことができる治療といえます。
AGA外用薬治療に用いる薬:ミノキシジル外用薬
内服薬に用いられるミノキシジルは、外用薬としても用いられる成分です。
飲み薬として服用することで、毛根に有効成分が巡り効果を期待する内服薬と異なり、外用薬の場合は皮膚から吸収して効果を期待する薬の為、有効成分の吸収率が低く、内服薬と比べ効果が劣ると言われがちです。
このミノキシジル外用薬はOTC医薬品のリアップとして日本で初めて発売され、2019年以降はメディカルミノキ5を筆頭に様々なジェネリック医薬品が発売されています。
効果としては内服薬と同様に髪の毛の成長を促す成長因子の分泌を促進し、髪の毛母細胞(髪の毛を作る場所)を活性化させることで、髪の毛を太く長くする発毛効果が期待できます。
ミノキシジル外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。
AGA治療法3:頭皮への薬剤注入でのAGA治療
薄毛治療における基本的な治療方法は内服薬と外用薬による治療ですが、それらをカバーするための補助的な治療として注入治療もあります。
この治療はあくまでプラスアルファとしての治療なのでクリニックによっては実施をしていない場合も多いです。
この注入治療はクリニックごとに様々な施術名でサービスを提供しており、注入される薬剤は、成長因子そのものが使われるケースが多いです。そして注入方法については、注射針をはじめ、電気、レーザー、炭酸ガスなども用いられます。
なお、代表的な治療名としては「HARG治療」「育毛メソセラピー」などの名前で各クリニックで施術が行われています。
HARG治療について詳しくはこちらをご覧ください。
育毛メソセラピーについて詳しくはこちらをご覧ください。
AGA治療法4:植毛でのAGA治療
これまで紹介してきた内服薬、外用薬や注入の治療は、「髪の毛が抜けてから生え変わるまでのサイクルが繰り返されている状態=毛根が活動している状態」に効果があるものです。
しかし「薄毛部分に産毛すら存在していない=髪の生え代わりが終了している」場合、どこのクリニックにも限らず現代医療において投薬治療では毛髪を生やすことは難しく、効果は期待できません。
そのようなケースに対応できる治療方法として「植毛」があり、古くは「人工毛」を用いる手術、近年では「自毛」を用いる手術の2種に分類ができます。
人工毛植毛
人工毛植毛とは、ポリエステルやナイロンでつくられた合成繊維の毛髪を頭皮の下に植え込む植毛です。
人工繊維を用いた毛髪ですので、毛の長や量、色や髪質もコントロールできるので、髪質に合わせた髪の増毛が希望に沿って出来ることがメリットです。
しかしながら、体内に異物を挿入する為、拒絶反応や頭皮へのダメージによる感染症が発症するリスクが伴います。
植毛の種類:自毛植毛
自毛植毛は人工毛植毛とは違い、自身の毛根を薄毛部分に移植する方法で、AGAの影響を受けにくい側頭部や後頭部の毛根を移植する方法です。
毛根を移植することで髪のボリュームが増えるのは勿論ですが、移植後もドナードミナンス*1の原理を基に、薄毛部位に移植した毛根は側頭部や後頭部の頭髪と同様に伸び、生え変わっていきます。
主に移植元の毛根採取方法により術式が分かれており、メスを用いるFUT(Follicular Unit Transplantation)法とメスを用いないFUE(Follicular Unit Excision)法、専用の細い植毛針を用いたニードル法という3種類があります。
自毛植毛の大きな利点としては、自身の毛根を移植するので植毛部位にきちんと定着さえすれば、自毛と同じように扱える為、その後のメンテナンス費用を抑える事が出来ます。また、自分自身の細胞による移植手術なので、手術後の植毛部位への拒絶反応を含めたダメージも人口毛植毛とは異なり、少ないといえるでしょう。
しかしながら、手術での治療を考えた場合、手術費用だけでなくそれに伴う麻酔費用、術後のメンテナンスなどを考えるとトータル数百万代の費用がかかるケースも少なくないので、内服薬や外用薬の月数万円の治療とは異なり、金銭的な負担が大きくなるケースが多いです。
移植後も移植前の毛根の性質を受け継ぐという細胞の性質
AGAの効果的な治療薬や治療法の考え方
この様にAGAの治療に際し、医学的に根拠がありAGAへの効果が確立されている治療方法といっても、その種類は多種多様です。そして、一概にどの治療法や薬が効果があるという訳ではなく、人それぞれのAGAの進行や症状の度合い、薬の効果の出方などにより、その治療法の効果も大きく異なります。
基本的な考え方として抜け毛が気になる、もしくは地肌が若干透けてきたなどのAGAの初期症状であれば内服薬治療を中心に治療を行います。
AGA治療の内服薬について詳しくはこちらをご覧ください。
症状の中期~後期にかけては内服薬を中心として、そのサポートとして外用薬、場合によっては頭皮への成長因子などの薬剤注入のAGA治療を選択することが一般的です。
AGA治療の外用薬について詳しくはこちらをご覧ください。
成長因子などの薬剤注入について詳しくはこちらをご覧ください。
そして、AGAの症状が大きく進んでしまっている場合や、内服薬などで体質的に効果が認められない場合などは植毛を選択するケースがあります。
何れにしても、どの治療法を選択するかは自らの判断ではなく、しっかりと医師に触診などで頭皮の状態やAGAの進行状況などを細かく診断してもらった上で、どのAGA治療法を選択すべきかを相談しながら決めていくのが良いでしょう。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指します」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。