ケトコナゾール(ketoconazole)は真菌(しんきん)の一種であるマセラチア菌による炎症の治療に使用される抗真菌薬です。AGAクリニックが処方する頭皮用シャンプーには、多くの場合はこのケトコナゾールという成分が配合されています。そこで、ケトコナゾールに薄毛治療に対してどのような効果が期待できるのか、また副作用やケトコナゾール配合のシャンプーの正しい使い方などを解説していきます。
目次
ケトコナゾールとは
ケトコナゾールは真菌の一種であるマセラチア菌による頭皮の炎症の治療に使用される抗真菌薬です。頭皮に分泌される皮脂が過剰になると、その皮脂にマセラチア菌という真菌が感染・繁殖しフケや痒みの原因となります。発疹や炎症がさらに悪化すると脂漏性皮膚炎や粃糠性脱毛症を引き起こします。
ケトコナゾールは他の真菌に比べこのマセラチア菌に対する非常に強力な抗真菌作用を持っており、抜け毛・脱毛症が脂漏性皮膚炎・粃糠性脱毛によるものであると診断された場合には、このケトコナゾールによる治療が有効です。
ケトコナゾールのクリームとローションの違い
ケトコナゾールには、クリームとローションの2つのタイプがあります。
タイプ | 特徴 | 使用患部 |
クリーム・軟膏 | べたつきやすいため洗い落としにくい | 腕や顔、足など |
ローション | さらさらしており目立たない 伸びが良い |
頭皮などの有毛部に適している |
クリームや軟膏タイプのケトコナゾールでは、ベタつきやすく浸透力が弱いというデメリットがあるため、頭皮には用いられません。その代わり、刺激の弱さを生かして皮膚の薄い部分によく用いられます。例えば顔にできたニキビや陰部のカンジダ、水虫などの皮膚感染症には軟膏タイプを使用しましょう。
ローションタイプのケトコナゾールは、さらさらしていて浸透力が強く、頭皮や毛のある場所に用いられます。その代わり浸透力が強くて刺激が強いため、皮膚の弱い部分への使用には向いていません。
一般的に脂漏性皮膚炎やAGAの治療にはローションタイプのケトコナゾールが用いられます。
ケトコナゾールとニゾラールの違い
ニゾラールは薬品名であり、使われている成分がケトコナゾールという名称です。ニゾラールが先発薬で、ニゾラールのジェネリック医薬品として、ケトコナゾールが開発されました。
ケトコナゾールはニゾラール同様に抗真菌薬であるため、白癬菌などの真菌が原因になる水虫や、真菌が頭部で炎症を起こす伴い脱毛してしまう「脂漏性皮膚炎」に効果的です。
このようにケトコナゾールとニゾラールでは、効果や副作用において違いはありません。
ケトコナゾールの効果
外用抗真菌剤であるケトコナゾールは、真菌を繁殖を阻害する効果があります。白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビによって生じる感染症を改善させるのが一般的な使用目的です。白癬菌は皮膚感染症の一つで、足で発症すれば水虫になり、頭部で発症すれば乾燥したうろこ状の斑が出て、かゆみを伴います。
ケトコナゾールの効果が期待できる薄毛の症状
薄毛治療におけるケトコナゾールは、さまざまな皮膚疾患で広く処方されており、主に脂漏性皮膚炎や頭部白癬などで起こる脱毛症を治療する際に使われます。ケトコナゾールを使用するような薄毛の症状について解説していきます。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が多い部位に起こる湿疹のことです。顔面や頭部、生際等で発症することが多く、発症すると頭皮がうろこ状のかさぶたのような状態になり、ぽろぽろと毛髪に付着し、頭皮がかゆみを伴います。
脂漏性皮膚炎の原因と言われているマラセチアとは、皮膚に常在している菌のことです。このマラセチアは増殖するために人の脂質を好むため、皮脂の多い箇所に常在すると解明されました。
頭部白癬(とうぶしらくも)
真菌が頭部に感染すると乾燥した状態のフケや、頭皮がうろこ状の斑になって、その箇所が脱毛する場合があります。症状が悪化すると脱毛斑ができ、円形に脱毛してかゆみを伴います。脂漏性皮膚炎と症状が似ているため、触診などではわからないケースがあり、その場合は顕微鏡での確認が必要になります。
AGA(男性型脱毛症)
体内の男性ホルモンであるジヒドロテストステロンによる薄毛の症状に対して、ケトコナゾールは抗アンドロゲン作用も持っており、男性型脱毛症に対する抑制効果も発揮します。2%のケトコナゾールシャンプーと2%のミノキシジルの外用薬を長期使用した場合に、その効果に差が無かったという研究報告もありますが、AGA治療に特化した実用的なケトコナゾールの商品はまだ世に出回っていません。
AGAにについて詳しくはこちらをご覧ください。
関連: AGAの意味や原因、脱毛パターンまで解説
その為、AGAの症状だけの場合には積極的にケトコナゾールでの治療を勧めるケースは無く、あくまでもAGA(男性型脱毛症)と脂漏性皮膚炎や頭部白癬が併発している可能性がある患者さんなどに処方されるケースがほとんどです。
ケトコナゾールの副作用
ケトコナゾールには以下のような副作用が確認されています。
※スマートフォンでご覧の場合はこの表を横にスライドができます。
発生部位 | 副作用 |
皮膚 | 皮膚灼熱感、発疹、皮膚剥脱、皮膚のべとつき感、蕁麻疹、糜爛、亀裂、疼痛、刺激感、そう痒、接触皮膚炎、紅斑、水疱 |
全身障害および投与局所様態 | 適用部位反応(出血、不快感、乾燥、炎症、錯感覚、浮腫) |
免疫系障害 | 過敏症 |
その他 | 尿蛋白陽性 |
なお、これらの副作用は発現頻度が明確となる調査が実施されていない為、使用した際に上記のような症状が出たらすぐに使用を中止して、処方を受けた病院の医師に診断を仰ぎましょう。
ケトコナゾールの禁忌
過去にケトコナゾールを使用したことがあり、過敏症の既往歴がある方への使用は禁忌とされています。なお、ケトコナゾールは男女どちらも使用できますが、妊娠中の女性への投与は安全性が確立していません。そのため、そのリスクより治療が優先と判断された場合に使用されますので、医師との相談が必要です。
AGA治療においてのケトコナゾールの考え方
ケトコナゾール単体の処方ではAGAに対しての改善効果は見込むことが難しいですが、頭髪の土台となる頭皮が荒れていたり、不健康な状態で不必要に髪が抜けたり、正常に髪が生えない状態になっている場合には、フィナステリドなどのAGA治療薬を使っても、その効果を最大限引き出すことが出来ません。
そう考えると、ケトコナゾールによる頭皮正常化の治療アプローチもAGA治療においては非常に重要なプロセスです。医師の診察や触診をしっかり受けることで、自分の頭皮の状態を確認してもらい、ケトコナゾールの処方の必要があるか否かを判断してもらいましょう。
あケトコナゾールに関してよくある質問
ケトコナゾールに関してよくある質問をまとめました。
銀座総合美容クリニックでは「常に患者さん目線でのクリニック運営」「患者満足度のより高いAGAクリニックを目指す」をクリニックの運営理念に掲げ薄毛に悩む患者様と日々真摯に向き合っており、無料カウンセリングを対面・オンラインともに常時承っております。